2. 許せるはずのない君 家入レオデビュー5年目の新曲だ。主題歌であることからテレビにより注目を集めている。PVを見た。廃屋のような場所に一人静かに座っている。ダンサーが一人いるように見える。いるように見えるが、そこでは既に停止しているか暴走しているかのどちらかである。体で表現しているのだとそのまんま踊っていた人もいつの間にかいなくなっている。負けたからその後の人生にいないはずだというダンサーなるものだ。同じ場所に既にいないというが、それでもまだそこで踊っている時もあるらしい。踊るしかないのだ。静かに座っている家入レオ。一人廃屋か船底かと思わせるはぐれものとなりそれでも、また誰かを愛せるか?君と呼ばれる男を許すことなどできるだろうか?幾度となく問いかけるのだ。心に響くものすらないその船底でまた誰かを愛することができるか?愛を知るものが忍び寄ることはない。愛を知るものが触れることはない。消せないと歌うフレーズには、そんな愛を知らない者の憎しみがぎゅうぎゅうに詰まっていた。ぎゅうぎゅうと音がしそうなほどに憎しみを詰め込みすぎて感づかれてしまったのだろう。感づかれても悪びれたり言い訳することはやはりない。無遠慮に消せないはずだと述べるばかりだ。極端な憎しみを前にまた誰かを愛せるか?そんなことを家入レオは歌うのだ。歌いながら問いかけるのだ。許せるはずのない君を許せたらまた誰かを愛せるか? のそのそと飛び出してきたのは、公安警察に負けを認めろ!と述べる一人の友人だ。手には斧や釜を握っている。坂本一家なる家族を次々と鉄槌を振り下ろし壁を壊しのそのそと忍び寄り、まさに鉄槌を振り下ろすその時!家族までも既に巻き込まれていることに気づき驚愕するのである。掘削車の唸る音が聞こえる。台風の吹き荒れるその日、それは友人の姿をしているが、あたかもそれが錯覚であったかのごとく唸りを上げて掘削車が鎌を振り下ろすのだ。そこには誰もいない。憎しみの残滓ばかりが溢れんばかりであるが、人らしき者はいない。だが、鉄槌は振り下ろされ続けるのだ。これほどの憎しみを人が知ることはないと述べながら。 エロビデオは色を失っていると歌が聞こえる。どこにも理由のようなものを見出すことができない。時は流れていく。置き去りとして何もない廃屋に連れていかれる理由もやはりない。気づかないはすだ!と置き去りを目論み移動しようとする女もやはり知り合いだ。殺伐としているが、エロビデオやネットカフェ難民こそ知り合いだ。なんということだろう。戦争体験を語る老人と並んで敗北なるものをエロビデオで語るのが知り合いだというでほないか!なんの敗北なのだろう? 3. 春の夢 寝息を立てて眠る大切な人。ボクなるものが腐りすぎていて分かりにくく恐ろしい歌になっているが、何も知らずに眠る大切な人が傷つかないよう密かに思うのだ。二度とこんな恐ろしいことが起きないようせめて歌うのだ。その安らかな寝息が手の届かないはずの春の日の夢だった。時折見かけるカップルじゃ、なかったな。 そしてまた雷が鳴り響くのだ。のそのそと出てきた友人の姿をしてはいるが、普通じゃないほど雷が鳴り響くばかりだ。雨が降りしきり止んだ時に言うことも独特の汚い言葉だ。雨が降りしきる音を聞いていた。落ちる雷は何かの怒りが禁忌までをも破る普通ではない音を発し発光し、そして落ちるばかりだ。稲光の異様である中でこの歌を聴いていた。また誰かを愛せるだろうか?憎しみには道しかない。なにもそれを公道にまで持ち込むことはないだろうに。美しいものが見たい。こんなにも汚いものでなければまた愛せるだろう誰かを。